海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2016-01-10から1日間の記事一覧

「ゴーン・ガール」ギリアン・フリン

間抜けな男を翻弄する悪女を描いた作品と単純化すれば身も蓋も無いが、ひたすらに構成の巧さに唸る秀作だ。早くも倦怠期を迎えた若い夫婦、夫は独白、妻は日記という交互の視点で語っていく。発端で既に妻は失踪し、その日記は過去のエピソードから始まって…

「闇の報復」F・ポール・ウィルスン

「ナイトワールド・サイクル」全6部作の第5部。光と闇による凄まじい闘いが展開する最終作へと向けて、これで全ての「役者」が出揃ったことになる。前作で復活を遂げた魔人ラサロムが、再び強大な力を取り戻すまでを描いており、神父ビル・ライアンを主人公…