海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2018-03-20から1日間の記事一覧

「ノーブルロード」ピーター・ローダー

1986年発表作。英国女王暗殺を巡るサスペンスで、謳い文句も「フォーサイス以来の大型新人」と威勢はいいが、実力の差は歴然としており、かえってローダーには有り難迷惑だったのではないか。全体的にリアリズムに乏しく、構成力も弱い。プロットは、IRA…

「死角」ビル・プロンジーニ

1980年発表、私立探偵〝名無しのオプ〟シリーズ第6弾。初登場時は、狂的なパルプ・マガジン蒐集家にして、肺癌の恐怖に怯えるヘビースモーカーという設定で、ネオ・ハードボイルドの一角を占めていたが、前作「暴発」で煙草をきっぱりとやめており、探偵自…

「地上90階の強奪」ユージン・イジー

クライムノベルの新鋭として注目されていたイジー1989年発表作。コソ泥、金庫破り、殺し屋、ギャング、警官らが織り成す生き生きとした会話が最大の魅力。重鎮エルモア・レナードからの影響が顕著だが、スマートな軽快さよりも裏稼業の男たちの生き方そのも…