海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2018-06-19から1日間の記事一覧

「大きな枝が折れる時」ジョナサン・ケラーマン

小児専門精神医アレックス・デラウェアシリーズ第1弾。「ロス・マクドナルドの伝統を受け継ぐ」という売り文句もあるが、清廉な主人公の立ち位置はともかく、ハードボイルド小説に不可欠な冷徹さや、罪を犯す人間の掘り下げ方などが浅く、処女作の段階では…

「その男キリイ」ドナルド・E・ウェストレイク

「やとわれた男」で鮮烈なデビューを飾ったウェストレイクは、「殺しあい」「361」と、シリアスなクライムノベルを上梓していたが、第4作以降はジャンルにこだわらず書いたようだ。1963年発表の本作は、人生経験に乏しい若い男が数多の体験を経て処世術…