海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2019-05-02から1日間の記事一覧

「悪党パーカー/襲撃」リチャード・スターク

1964年発表、シリーズ第5作。感傷とは無縁の犯罪小説であり、プロフェッショナルの仕事ぶりを、どこまでもドライに活写するスタークのスタイルは一貫している。 舞台は、北ダコタ州コパー・キャニオン。三方を崖に囲まれ、一本の道路と鉄道のみで通じる閉ざ…

「リスボンの小さな死」ロバート・ウィルスン

1999年発表、英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞受賞作。ポルトガルを舞台とする異色のミステリだが、構成も変わっている。港街リスボンの浜辺で発見された少女殺害事件をめぐる現代のパートと、1942年ナチス・ドイツの特命を帯びた或る実業家の不穏な動き…