海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ゴーリキー・パーク」マーティン・クルーズスミス

マイナーな作家に過ぎなかったマーティン・クルーズ・スミスの名をミステリ界に一気に知らしめた作品。
旧ソ連の人民警察殺人担当レンコ主任捜査官が、ゴーリキーパークで起きた不可解な殺人事件の謎を追う。舞台を敢えてソ連に置いたように、単純な謎解きで終わる筈もなく、密輸や亡命を絡めつつ、先が読めない展開で工夫を凝らしている。だが、プロットに強引なところがあり、すんなりと納得がいくものでは無い。KGBやFBIが、果たしてこんな無茶をするのか、という行動をとる。悲恋という味付けも、陰鬱な物語にカタルシスを感じさせるものでは無かった。

評価 ★★★

 

ゴーリキー・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

ゴーリキー・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

 

 

 

ゴーリキー・パーク 下 (ハヤカワ文庫 NV ス 10-4)

ゴーリキー・パーク 下 (ハヤカワ文庫 NV ス 10-4)