活劇小説の傑作「樹海戦線」で冒険小説ファンを虜にしたJ・C・ポロック。あの感動を再び、と本書を手に取るが、どうも終盤まで盛り上がらない。
KGBの非合法工作員に妻を殺された元デルタフォースの男、その復讐劇をメインに描くのだが、血の滾りに欠けていおり、胸を熱くさせるものが無い。しかも、個人的な復讐に仲間を巻き込みつつ、主人公以外は虫けらの如く殺されていく。米国特殊部隊にソ連のKGBやGRU、さらにはニカラグアのゲリラ組織と多彩な顔ぶれも、情報過多でテンポを鈍らせている。アクションシーンは流石の臨場感だが、読み終えて何も残るものが無いのでは辛い。
評価 ★★