海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「眠れる犬」ディック・ロクティ

さえない中年の私立探偵の男と、依頼主となる14歳の女子高生が、交互に一人称で綴るという趣向を凝らしたミステリー。連続殺人の事件を追う二人のユーモラスなやりとりが本作の最大の魅力だが、犬の失踪から始まるプロットは充分に練られており、ラスト数ページで一気に明かされていく謎解きも見事。脇役にいたるまで、人物造形がしっかりしている。

評価 ★★★★

 

眠れる犬 (扶桑社ミステリー)

眠れる犬 (扶桑社ミステリー)