海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「シャドウボクサー」ノエル・ベーン

ナチス・ドイツの捕虜収容所から密かに囚人を脱出させる男、シュパングラーを主人公とするスパイスリラー。崩壊間近のドイツから反ナチスの重要人物を集め、米国の傀儡としての臨時政府を目論むスパイ活動を描くというのが本筋だが、この作者はどうも捻くれ者らしく、登場人物らの思惑をストレートに出さない。物語としては破綻すれすれで、シュパングラーの活劇を中心にすえれば、もっと面白くなっただろう。

評価 ★★

 

シャドウボクサー (1980年) (ハヤカワ文庫―NV)

シャドウボクサー (1980年) (ハヤカワ文庫―NV)