読了後、しばらく心地良い余韻に浸る。
哀しくも優しい、残酷でありながも幸福感に満ちた極上の物語。国境を越えて世界中で読み継がれていることも納得だ。一冊の本との出会いを大切に思う人々が、主人公である少年の思いに深く共鳴しつつその成長を見守り、読み終えてのち、己自身の人生を振り返るきっかけを与えてくれるからだろう。
中心となって描かれるのは、動乱の時代に時を経てシンクロする二人の男をめぐる数奇な恋愛だが、彼らを支える父親や友人たちの無償の愛情表現が素晴らしく、様々な障害を乗り越えてラストで一気に結晶するさまは、美しいと言うほかない。
極めて映像的な作品で、翻訳の文体も見事だ。
評価 ★★★★★
- 作者: カルロス・ルイスサフォン,Carlos Ruiz Zaf´on,木村裕美
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/07
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