海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「カリフォルニアの炎」ドン・ウィンズロウ

ウィンズロウ節とも呼べば、いいのだろうか。
簡潔なセンテンスで、短いエピソードをテンポ良く積み重ねていく。中盤辺りでは既に分厚い物語が構築されており、どう転んでいくのか全く予想が出来ない。ロシア人ギャングの抗争を軸に金と欲にまみれた人間の業を描くが、物語全体を象徴する炎が冒頭から最後までその行く先を決定することとなる。
街を焼き尽くす炎の中で、己を裏切った男さえも救出しようとする主人公の姿勢に、作者自身の投影を視る。

とにかく、独特の熱ぽっさを伝えるリズム感に溢れた故東江氏の翻訳が見事というほかない。

評価 ★★★★★

 

カリフォルニアの炎 (角川文庫)

カリフォルニアの炎 (角川文庫)