海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「皮膚の下の頭蓋骨」P・D・ジェイムズ

読書にかける時間がなく、2週間かかってようやく読み終えた。文庫本で600ページあまり、特に長い分量ではないが、綿密な描写がびっしりと続くため、どうしても読むスピードが落ちる。加えて、裏表紙のあらすじにある殺人が起こるのは、ストーリーの中盤になってからというノンビリ感。舞台が孤島の城というゴシックぶりも、私にはついていけなかった。解説によれば、ラストは今までのミステリにない趣向を凝らしているらしいが、単に解決を描かず曖昧にしているだけでしょう。もっと魅力的になるはずの女性探偵も、ただ振り回されているだけの感じだった。

評価 ★☆