海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「鏡の迷路」ウィリアム・ベイヤー

フランク・ジャネック警部補シリーズ第三作。
結末を読む限り、作者は三部作として終わらせたのだろう。魅力的な主人公だけに残念だ。タイトル通り、鏡の迷路が舞台としても、心理的な表現としても重要なモチーフとなっている。全てが砕け散っていくラストは悲劇的で、ベイヤーならではの感傷に満ちる。愛する者を救うことが出来ずに泣き崩れるジャネックの純粋な優しさが、その後の彼の行動に自然と繋がっていく。

評価 ★★★★

鏡の迷路 (扶桑社ミステリー)

鏡の迷路 (扶桑社ミステリー)