海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ネオン・レイン」ジェイムズ・リー・バーク

中盤までは快調。風景や人物描写、社会的背景と小道具などに文学出身者らしいこだわりを感じる。臨場感あるアクションも、ハードボイルドとして合格点だろう。主人公ロビショーも骨のある好漢で良い感じだ。
だが、プロットが弱い。ハードボイルドに謎解きなど不要だとしても、もう少しひねりが欲しい。
ただ、合間に挿入されるベトナム戦争など過去のエピソードの描き方は素晴らしい。この作家は、大筋よりも、場面場面を如何に印象的にするかに力を注いでいるのだろう。

評価 ★★★

 

ネオン・レイン (角川文庫)

ネオン・レイン (角川文庫)