海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ひきがえるの夜」マイクル・コリンズ

隻腕の私立探偵ダン・フォーチューンは孤独だ。
ロス・マクのリュー・アーチャーも孤独な探偵だが、既に己自身をも達観する境地にいるアーチャーは孤独であることも、またひとつの誇りであるかのように行動する。
だが、フォーチューンの孤独っぷりは、なんとも寂しくて哀しい。
貧しさ故に罪を犯す人々。そのただ中に、寒いニューヨークを歩く彼の後ろ姿。
失くした片腕は孤独に打ち震える。

評価 ★★★★