海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ブラック・アイス」マイクル・コナリー

デビュー作を読んだのは、もう随分前だ。
三人称でありながらも、常に主人公の行動を追い、彼の視点で描写するため、読んでいる最中でも、一人称のストーリーと錯覚する。
作者は、ヒーローの孤独をより際立たせるために、内面描写を出来るだけ避けるスタイルとしたのだろうか。
とまれ、ハードボイルドに求められる要素は本書でも申し分なく盛り込まれており、ストイックに真相に向かってひた走るハリー・ボッシュは、惚れ惚れとするほど格好良い。
クライマックスでの対決シーンは、まるで古臭い西部劇だが、実は極めて現代的な暴力的決着として描かれる。

評価 ★★★☆

 

ブラック・アイス (扶桑社ミステリー)

ブラック・アイス (扶桑社ミステリー)