ミステリ史上に残る傑作。
この作品最大の魅力は、人間消失などの複雑怪奇な謎の論理的解決と同時に、相反する非論理的なオカルティズムを融合させ、見事に成立させてしまったところにある。
エピローグを読み終え、ゾッとする悪寒を覚える読者を想像してほくそ笑むカーのしてやったりの表情が浮かぶようだ。
この力技は、カー以外では成し得なかったであろうし、ずば抜けたストーリーテーリングがあってこそのプロットだ。最初から最後まで強烈なサスペンスに満ち、登場人物の優れた造形が物語に深みを増し、天才カーの迷宮世界が妖しくも絢爛と形作られている。
評価 ★★★★★
- 作者: ジョン・ディクスン・カー,加賀山 卓朗
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 文庫
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