海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「灰色の栄光」ジョン・エヴァンス

ストレートなハードボイルドが楽しめる佳作。発表は1957年。ハメットやチャンドラーの影響が色濃く残っていた時代で、ストイックでタフな男が卑しい街で謎に満ちた犯罪を暴いていく。
主人公はシカゴの私立探偵ポール・パインで、所謂「栄光シリーズ」4部作の最終作となる。ある地方の町で起こった連続殺人解決のために、孤独な闘いを強いられるパインは「正統派」の名に恥じない。町の政治を牛耳り警察を意のままに操る富豪、その家族を巻き込んだ不可解な殺しと隠蔽工作、富豪の娘と絡み暗躍する悪党、謎の脅迫者の存在……など、まさに古き良きハードボイルドの世界が広がる。

評価 ★★★

 

灰色の栄光 (アメリカン・ハードボイルド (4))

灰色の栄光 (アメリカン・ハードボイルド (4))