海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「スティック」エルモア・レナード

レナードが爆発的人気を博す直前の1983発表作。綿密なプロットよりも、イキのいい会話を主体に小悪党どもを筆の赴くままに描いており、小気味よい作風が本作ではより強められた感じだ。麻薬と金を巡る登場人物らの言動は極めて不真面目でいい加減なのだが、一歩間違えれば己の死に直結するギリギリのやり取りが、返ってリアルな情景を生み出している。

評価 ★★★

 

スティック (文春文庫)

スティック (文春文庫)