海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「シカゴ探偵物語」マックス・アラン・コリンズ

長くて退屈という印象しかない。文章がさっぱり頭に入ってこない理由は、翻訳のためかもしれないと中途で気付く。映画作品のノベライズがより多く翻訳されているコリンズだが、本作を読む限り、残念ながらオリジナルには精彩がない。
舞台は禁酒法時代のシカゴ。アル・カポネやエリオット・ネス、フランクリン・ルーズベルトなど登場する人物は派手だが、一介の私立探偵が彼らと深い関係を持つという設定には無理がある。何より主人公ネイト・ヘラーに魅力が乏しく、ハードボイルドとしての味わいにも欠けている。史実と絡めるのであれば、思い切ったアレンジも加えてほしいところだが、終始ぼんやりと筋が流れ、意気込みだけが空回りしている。
私立探偵小説は、もっと引き締めてほしい。

評価 ★

 

シカゴ探偵物語―悪徳の街1933 (扶桑社ミステリー)

シカゴ探偵物語―悪徳の街1933 (扶桑社ミステリー)