海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ゴルゴタの呪いの教会」フランク・デ・フェリータ

フェリータ1984年発表作で、米国片田舎の打ち捨てられた教会を舞台に〝悪魔〟と〝神〟が対峙するオカルトもの。終盤ではバチカン法王も馳せ参じてハルマゲドン的な対決となるのだが、大風呂敷を拡げすぎて尻すぼみの感は否めない。
主要人物は3人。超常現象の科学的解明のために「呪われた教会」を訪れた若い男女と、使命感に突き動かされて教会の浄化に挑む神父。だが、それぞれの挙動は行き当たりばったりで、特に勢いよく悪魔祓いに取り組んだものの易々と敗北する神父の無思慮/無防備さが際立つ。悪魔的な現象に対して、結局は「神に祈る」しか対抗手段がないという宗教的な括りにこだわる、この手のオカルト小説の限界かもしれない。

文章は平易で映像的。登場人物を絞り込んで無駄なエピソードを排しているのは良いのだが、いささか類型的。展開も予想を超えるものではなく、ホラー小説/映画にある程度馴染んできた読み手には物足りないだろう。

評価 ★

 

ゴルゴタの呪いの教会〈上〉 (角川文庫)

ゴルゴタの呪いの教会〈上〉 (角川文庫)

 

 

 

ゴルゴタの呪いの教会〈下〉 (角川文庫)

ゴルゴタの呪いの教会〈下〉 (角川文庫)