海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2016-02-07から1日間の記事一覧

「凍った街」エド・マクベイン

馴染みの刑事部屋に入り、ガサツでありながらも心優しい刑事たちに再会する。スティーブ・キャレラ、マイヤー・マイヤー、バート・クリング、ミスコロ、バーンズ……1956年発表の「警官嫌い」以降、2005年「最後の旋律」まで全56作。マクベインの死によって惜…

「顔のないポートレート」ウィリアム・ベイヤー

傑作「すげ替えられた首」以来のベイヤーファンだが、本作はいささか気合いが入り過ぎたか、逆に力が抜け過ぎたのか、出来は良くない。全体的な雰囲気はフィルム・ノワールへのオマージュといった感じだが、弛緩したプロットと類型的な人物設定により、ミス…

「眼下の敵」D・A・レイナー

1943年の大西洋を舞台に、ドイツ潜水艦とイギリス駆逐艦との一対一の闘いを描いた有名な戦争小説の一つだが、期待が大きすぎたのか肩透かしを食らう。「相手の手の内を読み、裏をかく」という、一歩間違えれば「死」の駆け引きが展開されていくのだが、どこ…

「悪の断面」ニコラス・ブレイク

近年、旧作の翻訳出版が続き、再評価されているニコラス・ブレイク1964年発表作。 イギリスの物理学者ラグビーの娘を誘拐し、解放する条件として軍事機密を要求する共産主義者のグループ。決行は、年末の休暇でラグビー一家が片田舎を訪れる旅館滞在時。主犯…