海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2016-09-27から1日間の記事一覧

「クレムリン 戦慄の五日間」

1979年発表のスリラー。話題作ではないものの奇抜な着想を盛り込んだストーリーの面白さで読ませる。捻りのない翻訳タイトルで損をしているが、原題は「ソールト・マイン」で岩塩坑を意味し、作中では反政府グループのコードネームとなる。旧ソ連時代、クレ…

「ダブル・イメージ」デイヴィッド・マレル

マレル1998年発表作。出だしこそ典型的なスリラーだが、プロットに大きな捻りを加えている。実質二部構成で、前半終了時に大きな山場を迎えたあと、本作の隠されたテーマ「ストーキング」の恐さが前面に出る。数々の戦場写真により著名となったフォトジャー…