海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2019-09-08から1日間の記事一覧

「戦場の画家」アルトゥーロ・ペレス・レベルテ

沖に向かって泳ぐ一人の男……これが幕開けと終幕の場景となる。物語の中で、時間はゆっくりと流れている。静寂と孤独。変わらないのは、それだけだ。ラストシーンで、読み手は冒頭と同じ男をそこに視ることはない。何故、海を目指したのか。何が、変わってし…