海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ローズマリーの赤ちゃん」アイラ・レヴィン

所謂、モダンホラーの先駆と称される作品。アメリカ社会の雑多な世俗とともに、前近代的悪魔崇拝に堕ちた集団の狂気の顛末を描く。
物語はいたってシンプルで、結末自体も驚くものではない。まるでオチのつけようがなく、途中で投げ出してしまったかのような中途半端な印象。キリスト教信者以外には、衝撃度は低いだろう。猫目、尻尾、角…、人間の妄想そのものの悪魔の誕生、第三部は殆ど茶番である。
伏線など色々と工夫はあるが、
致命的に面白くない。残念ながら、レヴィンは死の接吻一作のみで枯れたのだろう。

評価 ★★

 

ローズマリーの赤ちゃん (ハヤカワ文庫 NV 6)