海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「兄の殺人者」D・M・ディヴァイン

珍しくクリスティーが褒めたというディヴァインのデビュー作品で1961年発表作。本格推理作家として、現在も高い評価を受けているらしいが、終始退屈な代物だった。英国のミステリ作家は大概が地味な作風で、ケレン味に欠けるきらいがある。本筋はアリバイ崩しだが、登場人物の俗物ぶりが疎ましく、中盤からはフーダニットとしての興味も薄れていた。トリックも今ではテレビドラマさえ使わないお粗末なもの。形骸化した「本格物」の薄い物語性しか印象にない。

評価 ★

 

兄の殺人者 (創元推理文庫)

兄の殺人者 (創元推理文庫)