海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「人類の叡智」という虚妄

ロシアの独裁者プーチンが始めた侵略戦争によって、その尊い命を奪われたウクライナの子どもは、ユニセフの統計によれば487人。今後はさらに増え続ける。そして親を殺され未来を失った子どもは、相当な数となるだろう。
戦死者はロシアとウクライナ両軍とも10万人。ウクライナ市民は7千人。
すべて暴力による死だ。
しかも、この大義無き戦争を止める智慧さえ、人間は持たないのである。殺さなければ、終わらないという無残な有り様。

ジャン=ポール・サルトルは、こう述べた。
「金持ちらが戦争を起こし、貧乏人が死ぬ」

この狂気は、現実である。人類の叡智とは、いったい何なのか。