海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2025-06-11から1日間の記事一覧

「九尾の猫」エラリイ・クイーン

劇的な終幕を迎えた「十日間の不思議」(1948)に続く1949年発表作。単なる〝思考機械〟から苦悩する探偵へと様相を変え、円熟味を増したエラリイ・クイーン中期を締めくくる傑作だ。正体不明の連続殺人鬼にマンハッタンは震撼していた。何れも絞殺で、犯行…

「コフィン・ダンサー」ジェフリー・ディーヴァー

如何にして読者を欺くか。ミステリ作家の腕の見せ所であり、読者はエンターテインメント小説として〝気持ち良く〟騙されることを望む。単に複雑なプロットを盛り込んだだけでは成功しない。シンプルなストーリーでも逆転の手法が冴えていれば幾らでも面白く…