海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「ミステリガール」デイヴィッド・ゴードン

地元米国よりも日本で評判になったという「二流小説家」でデビューを果たしたゴードン、第2作目となる2013年発表作。タイトルから洒脱なハードボイルドを想像していたが、過剰なデフォルメを施した〝くせ者〟らが繰り広げる物語は、どこまでもオフビートな…

「孤独なスキーヤー」ハモンド・イネス

1947年発表作。南欧の雪山を舞台にナチスの金塊を巡る争奪戦が展開する。今では格別目新しさもない題材だが、発表年を考えれば先駆となる作品であり、後にスタンダードとなる着想をいち早くカタチにしたイネスは流石だ。主人公は元軍人ブレア。文筆で生計を…

「倒錯の舞踏」ローレンス・ブロック

1991年発表、マット・スカダーシリーズ第9弾。「八百万の死にざま」(1982)で80年代ハードボイルドの頂点を極め、中堅作家だったブロックは一躍大家として大輪の花を咲かせた。だが、以降スカダーの物語は急速に色褪せていく。あくまでも自論だが、枯れた…

「復讐者の帰還」ジャック・ヒギンズ

ヒギンズの翻訳作品中では、最も初期にあたる1962年発表作。サスペンスを基調とした小品ながら、ハードボイルドタッチで硬派な世界を創り上げている。スタイリッシュな好編だ。1958年、英国の街バーナム。土砂降りの雨の中、路地裏で気を失っていた男が、悪…

「狼の時」ロバート・R・マキャモン

1989年発表作。スパイ・スリラーとホラーをクロスオーバーさせた快作で、当時絶好調だったマキャモンがパワー全開で突っ走っている。第二次大戦末期、連合軍はノルマンディー上陸作戦に向けた準備を秘密裏に進めていた。そんな中、ドイツ占領下のフランスに…

「追跡者〝犬鷲〈ベルクート〉〟」ジョゼフ・ヘイウッド

1945年5月2日、ベルリン陥落。その2日前にアドルフ・ヒトラーは自殺した。1987年発表の本作は、ナチス・ドイツ総統の死は偽装であり、逃亡を謀っていたという前提に立つ。事前から綿密な計画を練っていたヒトラーは、妻となったエヴァと己の替え玉となる男…