海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「殺戮のチェスゲーム」ダン・シモンズ

他人の意識と行動を操る異能者〈マインド・ヴァンパイア〉。その起源は不明だが、古来から極少数の者が生まれながらに特殊能力を備えていた。様々な仕事に就いて表向きの顔を持つ彼らは世界中に散らばり、時代の変化に順応しつつ生きながらえていた。容姿は…

「残酷な夜」ジム・トンプスン

裏社会の〈元締め〉から殺しを請け負った〝おれ〟ビゲロウは、田舎町ピアデールを訪れた。ターゲットは、暗黒街の秘密に通じていたノミ屋ウィンロイで、被告として裁判を控えていた。やつは、口封じで殺されるを恐れ、酒に溺れる毎日を送っている。ウィンロ…

「もう年はとれない」ダニエル・フリードマン

2012年発表作。主人公は87歳の元殺人課刑事バック・シャッツ。第二次大戦の戦友が死ぬ直前に残した言葉が発端となり、敗戦間際に米国へと逃れた元ナチスが隠し持つ金塊を巡る争奪戦が展開する。孫の手を借りたバックは自らの高齢を逆手に取りながら巧みに〝…

「グリーン家殺人事件」S・S・ヴァン・ダイン

本格ミステリ黄金期にあたる1928年発表作。「僧正殺人事件」と並ぶヴァン・ダインの代表作として、日本では今も読み継がれている。しっかりとした骨格を持ち、謎解きの過程も分かりやすいため、入門書としては最適だろう。堕落した有閑階級グリーン家を舞台…

「101便 着艦せよ」オースチン・ファーガスン

1979年発表の航空サスペンスで、内容は邦題と表紙の装画通り。米国サンフランシスコから中国上海に向かっていた特別旅客機。その第3エンジンが整備不良によって大破した。同機は3発ジェットエンジンのダグラスDC-10。残り二つのエンジンで飛行は可能だった…