海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「ダ・フォース」ドン・ウィンズロウ

現在も深刻な麻薬問題を抱える米国の実態を凄まじい暴力の中に描いた一大叙事詩「犬の力」(2005)/「ザ・カルテル」(2015)/「ザ・ボーダー」(2019)。作家人生の集大成ともいうべき、この渾身の三部作によって、ウィンズロウは紛れもなく頂点に達した…

「傷痕のある男」キース・ピータースン

ピータースンが80年代後半から発表した新聞記者ジョン・ウェルズシリーズは、現代ハードボイルドの新たな収穫として高い評価を得た。くたびれてはいるものの正義感に溢れた中年男の語り口がとにかく絶品なのだが、残念ながら4作品で途絶えたままだ。1990年…