2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
1973年上梓、ヒギンズの魅力を凝縮した畢生の名作。冒険小説史に燦然と輝く「鷲は舞い降りた」(1975)のような重厚な大作ではないが、ロマンとしての味わいでは突出しており、恐らく大半のファンはベストに推すだろう。1981年に「ミステリマガジン」が行っ…
1989年発表作。装丁や粗筋からは、人型ロボットが暴れ回る〝SF軍事スリラー〟という印象を受ける。たいして期待せずに読み始めたのだが、本作は近未来の戦争をシミュレートした無機質な戦闘物ではなく、冒険のロマンを絡めた実に読み応えのある力作だった…
処女作と第二作でスパイ・スリラーを書いたロス・マクドナルドは、1947年に発表した第三作で、いよいよハードボイルド小説に挑んだ。翻訳者は独特の文体を用いる田中小実昌で、言い回しは古いが粋の良い仕上がりで楽しめる。 軍隊生活を終えたジョン・ウェザ…
世界的ベストセラー作家が1990年に発表したデビュー作。今では30作以上の作品が翻訳され、固定ファンをしっかりと掴んでいるようだ。女性検屍官を主人公とするコーンウェルの代表的シリーズ、という前知識だけはあった。以下は本作のみを読んだ上での取り留…