海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「拳銃猿」ヴィクター・ギシュラー

スピード感に溢れるクライム・ノベル。ギャング組織の殺し屋集団に所属する男が抗争に巻き込まれ、ボスや仲間を守るために孤軍奮闘する。オフビートな展開でテンポ良く読ませるのだが、勢いのまま突っ走るため構成は荒い。その大味なところが本作の魅力でもあるのだが、肝心のガン・アクションは回数は多いものの、今ひとつ緊張感が伝わらない。主人公は早撃ちを得意とするガンマンという設定ではあるが、その玄人ぶりを披露する描写が甘いと感じた。中盤のロードムービー的なシーンが印象に残る。
評価 ★★★

 

拳銃猿 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

拳銃猿 (ハヤカワ・ミステリ文庫)