海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ラスコの死角」リチャード・N・パタースン

パタースンのデビュー作。ロス・マクドナルドを継ぐと評されたが、これはストイックに事実を追い求める主人公の言動を指してのものだろう。
政府高官も絡めた実業家の悪巧みを暴くプロットは、やや弱いが、社会派ミステリーとしての完成度は高い。

未読のパタースンの本をめくっていたら、なんと続編が書かれていた。罪の段階。リーガルサスペンス。主人公は同じだが、一人称ではなく、三人称となっている。著者は、ハードボイルドを継ぐ意志などはなからなかったようだ。

評価 ★★★

 

ラスコの死角 (ハヤカワ・ミステリ文庫 94-2)

ラスコの死角 (ハヤカワ・ミステリ文庫 94-2)