海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

2020-09-25から1日間の記事一覧

「鉄道探偵ハッチ」ロバート・キャンベル

土砂降りの雨の中、暗い山の尾根を走る列車。シカゴ発、サンフランシスコ/オークランド行き「ゼファー号」に、ジェイク・ハッチは乗っていた。職業は、様々な犯罪やトラブルの解決に当たる鉄道探偵。今夜もひと仕事終えて、馴染みの女の家へ向かう途中だっ…

「ユダの窓」カーター・ディクスン

1938年発表作で、古典的名作として世評が高い。法廷を舞台に殺人事件の被告が有罪か無罪かを問う論証をメインとし、〝本格物〟の醍醐味を味わうには最良の設定。その分、場景は固定されたままで動的でないのだが、読み手は陪審員の一人として、じっくりと裁…