米国のミステリ界では絶賛されたらしいが、どうにも退屈な作品だった。絶滅危機種を題材にした所謂環境保護を大きなテーマとし、私利私欲にまみれた権力者と猟区管理官の主人公の対決を描くのだが、これがなんとも頼りない。娘が事件に巻き込まれ、自宅から失踪したと聞いた直後でさえ現場に駆けつけることなく、回り道をして真犯人探しを続けるなど、あり得ない行動ではないか。どの人物も平凡な造形で、プロットの練り込みも足りないと感じた。
恐らく、いかにもアメリカ的な舞台と家族愛、さらには暴力的な決着の付け方が、当の国では受けたのだろう。
評価 ★★