海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「大魚の一撃」カール・ハイアセン

ハイアセンの魅力は、疾走するストーリー展開と強烈な個性を持つキャラクターたちの織り成す人間模様、そしてラストには勧善懲悪できっちりと締める爽快感にある。フロリダ・マイアミを舞台に、愚劣な政策によって環境破壊が進む現状への怒りを込めた社会批判を盛り込んでいることも共通している。

1987年発表の本作は、バス釣りに明け暮れる偏執的な者たちをユーモアたっぷりに皮肉った傑作だ。特に初登場となる怪人スキンクが圧倒的な存在感を示しており、忘れ難い印象を残す。

評価 ★★★★

 

大魚の一撃 (扶桑社ミステリー)

大魚の一撃 (扶桑社ミステリー)