海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「髑髏島の惨劇」マイケル・スレイド

ミステリ界で異彩を放つスレイドの快作。「マイケル・スレイド」は、カナダの弁護士ジェイ・クラークを中心とするチーム作家のペンネーム。メンバーには古典的な本格推理小説の愛好家もいるらしく、謎解きにダイイングメッセージを採用するマニアックな展開もある。オカルトや異常殺人などに関する知識を繰り広げる枝葉こそが読みどころで、本筋よりも楽しめる。残虐描写はあるが、計算された娯楽的要素のため、不快感は無い。恐らく、好き嫌いが分かれる作品だろうが、ミステリを愛する読み手であれば、けれん味たっぷりの濃密な世界観は癖になるのではないか。

評価 ★★★★

髑髏島の惨劇 (文春文庫)

髑髏島の惨劇 (文春文庫)