1998年発表のサスペンス。いささか強引な部分はあるものの、随所でツイストを利かせつつ、ミステリの定石を踏まえた仕掛けを施している。成り上がることを人生の基軸に置く者が、傲慢さ故に崩壊する有り様を生々しく描き出す。
〝一応〟の主人公である若い判事クィンの高潔だが脆弱さな人格を踏まえた犯罪計画。心理的なトラップにまんまと嵌まり、徐々に追い詰められていく男の焦燥は終盤に向かうほど重くなっていく。読み手のイライラ感は煽られる一方なのだが、作家の優れた技量の証しなのだろう。
評価 ★★★
1998年発表のサスペンス。いささか強引な部分はあるものの、随所でツイストを利かせつつ、ミステリの定石を踏まえた仕掛けを施している。成り上がることを人生の基軸に置く者が、傲慢さ故に崩壊する有り様を生々しく描き出す。
〝一応〟の主人公である若い判事クィンの高潔だが脆弱さな人格を踏まえた犯罪計画。心理的なトラップにまんまと嵌まり、徐々に追い詰められていく男の焦燥は終盤に向かうほど重くなっていく。読み手のイライラ感は煽られる一方なのだが、作家の優れた技量の証しなのだろう。
評価 ★★★