海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「不死鳥(フェニックス)を倒せ」アダム・ホール

60年代のベルリンを舞台に、暗躍するネオ・ナチス集団「フェニックス」壊滅を図る英国情報局員クィラーの単独行を描く。
設定はやや空想的な陰謀物だが、主人公はジェイムズ・ボンドの如き超人的ヒーローではなく、行動する際にはしつこいぐらいに思考する。プロフェッショナルとしての自意識は過剰ともいえるほどだが、武器を振り回さないところは好感がもてる。なにしろ、クィラー最大にして奥の手となる技は失神なのだから。

評価 ★★★