海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「裏切りのノストラダムス」ジョン・ガードナー

ハービー・クルーガー三部作の第一作。
舞台は、まだベルリンの壁があった冷戦時代の英国情報部。ロンドン塔を訪れた一人のドイツ女性の登場をきっかけに、第二次世界対戦中のドイツ占領下フランスで仕組まれた驚愕の諜報作戦が明らかとなっていく。スパイ小説の王道ともいうべきプロットは二重、三重に仕掛けられており、登場人物らの素性はラスト近くまでわからない。ノストラダムスの予言というオカルトをナチス内部の権力闘争に絡ませつつ、孤独なスパイの暗躍を緊迫感溢れる筆致で描いた秀作。ボリュームたっぷりだが、冒険小説的な要素もあり、飽きさせない。

評価 ★★★★

 

裏切りのノストラダムス (創元推理文庫 204-1)

裏切りのノストラダムス (創元推理文庫 204-1)