ようやく最終章に辿り着き、ある種の幸福感の中で読み終える。
読者は、長い長い道程を登場人物と共に歩き、年齢を重ね、喜び、哀しみ、怒り、人間としてのあらゆる感情の発露と類稀なる経験を通して、成長し老いていく。
この長大な物語を著わしたケン・フォレットの鬼気迫る意気込みと、情熱の高さは、著者からのメッセージを読むまでもなく、作品の隅々から匂い立つ。無論、フォレットならではのロマンと官能もたっぷりと堪能できる。
娯楽小説として傑作であるばかりでなく、ヒューマニズムを高らかに謳いあげた名作として読み継がれていくだろう。
蛇足だが、養老某という名の稚拙な解説者は、興醒めも甚だしい。
評価 ★★★★★
- 作者: ケン・フォレット,矢野浩三郎
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