海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「地上90階の強奪」ユージン・イジー

クライムノベルの新鋭として注目されていたイジー1989年発表作。コソ泥、金庫破り、殺し屋、ギャング、警官らが織り成す生き生きとした会話が最大の魅力。重鎮エルモア・レナードからの影響が顕著だが、スマートな軽快さよりも裏稼業の男たちの生き方そのものに焦点を当て、独自のノワールを構築している。イジーは、犯罪小説の挿話の如き不可解な最期を遂げているのだが、いったいどんな闇を抱えていたのだろうか。
評価 ★★★

地上90階の強奪 (ミステリアス・プレス文庫)

地上90階の強奪 (ミステリアス・プレス文庫)