海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「ここにて死す」マーク・サドラー

1971年発表作で、世界的な潮流でもあった学生運動を題材としている。黒人過激派、前衛劇団など、大学を根拠とする反体制グループの若者たちを描いているのだが、かなり観念的な論争を繰り広げていく。本筋は極めてシンプルで、全体的なトーンは良いのだが、枝葉で覆い尽くされ、核となる物語が弱められているのが惜しい。
ポール・ショウは、マイクル・コリンズの別名義。翻訳時は〝別人〟として扱われ、ハードボイルドの新鋭として、当のコリンズと名を並べて評価されていた。
評価 ★★