海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「野獣の街」エルモア・レナード

レナード1980発表の作品。デトロイト警察の警部補レイモンド・クルースを主人公に、法の穴をかいくぐり殺人を重ねる悪党クレメント・マンセルとの対決を描く。クルースをはじめ、活きのいい刑事群像が本書の最大の魅力で、数か月にわたり同警察を取材したというレナードの自信溢れる筆致が心地良い。謎解きの要素は一切無く、ストレートな警察小説というよりも、軽快なノリで読ませるハードボイルド。ラスト、1対1の勝負の後に見せるクルースの行動がクールだ。

評価 ★★★

 

野獣の街 (創元推理文庫 (241‐1))