海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「シカゴ・ブルース」フレドリック・ブラウン

1947年発表のフレドリック・ブラウンの処女作。主人公は、十代の若者エド・ハンターで、以降シリーズとして書き継がれた。シカゴの裏町で父親を殺されたエドが、伯父の協力を経て犯人捜しをする物語だが、プロットや謎解きに特筆すべき点はない。後にミステリとSFの大家として名を成すブラウンだが、往時の風俗を取り入れた〝大衆小説〟としての味わいはあるが、会話を主体にした淡々とした展開が地味な印象を与える。伯父との交流の中で、父親の思い出を挿入するのだが、やや単調な語り口のため、情感を感じることは少ない。
評価 ★★

 

シカゴ・ブルース (創元推理文庫 146-15)

シカゴ・ブルース (創元推理文庫 146-15)