海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「マイアミ・ブルース」チャールズ・ウィルフォード

なんとも不思議な味わいが楽しめる作品だ。
エルモア・レナードが絶賛するのも当然の作風で、小悪党と冴えない中年刑事を中心として飄々と展開する物語は、瑞々しいクライムノベルの魅力に満ちる。
やる気があるのか無いのか、結局は事件を解決してしまう主人公のホウク・モウズリー部長刑事。敵対する輩に入れ歯を何度も放り投げられも、犯罪者の新たな暴力に脅え、貧乏生活に加え妻への慰謝料に四苦八苦しながらも、ビーチでのささやかな休息を楽しみに待つ…こんな男、好きにならずにいられようか。

評価 ★★★★

 

マイアミ・ブルース (創元推理文庫)

マイアミ・ブルース (創元推理文庫)