海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「脱出山脈」トマス・W・ヤング

元軍人の作家がアフガニスタンを舞台に描くアクション小説。タリバンの聖職者を護送していた輸送機が撃墜され、極寒の山脈に不時着。敵に囲まれた中で、捕虜を伴い、いかに脱出するか…と、あらすじだけ読めば期待は高まるが、見事に裏切られた。
確かに、過酷な自然や現代兵器などの描写はリアルだが、物語に起伏が乏しく単調なのである。一番の欠点は、主人公も含めて登場人物に全く魅力を感じなかったことだ。本来ならヒロインとして活躍させるであろう女性の軍曹など、まるで戦うロボットのよう。人間が描かれていない小説が面白くなるはずがない。
最後まで退屈だった。

評価 ☆

 

脱出山脈 (ハヤカワ文庫NV)

脱出山脈 (ハヤカワ文庫NV)