ヴァージル・ティッブスシリーズ第1作。1965年発表にしてMWA最優秀新人賞受賞作。
アメリカ南部の黒人差別が色濃く残る田舎で、卑しい偏見を一身に浴びながらも、経験豊かな黒人刑事が殺人事件を鮮やかに解決し、無能な白人の署長らの意識に変革をもたらしていくという物語。
ティッブスは単に肌が黒い故に受ける罵倒、嫌がらせを冷徹に受け流し事件解決を第一として行動するが、些か優等生すぎるところがマイナスか。頭の良さだけで偏見を覆すことは弱く、こんな黒人もいるのだ、で終わりであろうから。
作者はあくまでも良質のミステリを書くことに重点を置いているようだから、いささか贅沢な注文かもしれない。
評価 ★★★