海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

旅の途上、沈黙する街で 【2020.4.1追記】

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非日常が日常へとなりつつある。小説や映画ではない。不条理な死がどこまでも現実味を帯びて間近に迫り、脅かしている。ミステリを通して親しんだ海外の都市は情景を変え、そこにあったはずの賑やかな人々の笑顔も失われている。沈黙する街、無辜の人々の死。次は自分かもしれない。これが現実だ。

 

感染が拡大している「新型コロナウイルス」によって、世界は深刻な状況へと陥っている。各国は感染国・地域からの入国制限/拒否措置をようやく取り始め、自国民に対しては渡航中止勧告と外出自粛を要請しているが、遅きに失した封じ込め策は一時凌ぎにもならずに完全に失敗しており、終息する兆しは全く見えない。

2020年3月末現在、感染者は70万人を突破し、死者数は3万人を超えた。中東/欧米では感染者が爆発的に増加。イタリアは死者が1万人に達し、連日500人が犠牲となっている。北部のベルガモでは火葬が追いつかないという報道もある。スペインで6千人、フランスとアメリカは2千人。ロシアでも急激に感染者が増えている。人々は目に見えない死の影に怯え、パニックの様相を呈している。紛れもない緊急事態だが、いまだに特効薬が無く、致死率のみが上がり続けている。

この悲惨な結果を招いた理由は幾らでも上げることができるだろうが、中でも最大の過ちは、発生源と見られている中国での疫病蔓延を「対岸の火事」と高を括り、自国経済を優先した政治家らの利己的な楽観視にある。今後も加速度的に感染者と死者数が増え続けることは間違いがない。では、それはどこまで、いつまでなのか。何一つ答えが無い。

日本においても、現政権の無能無策によって、我々はかつてない不安な状態へと追い込まれている。これまでも、己の保身のみ稚拙な悪知恵の働くアベ/アソウ/ニカイを筆頭に、イエスマンばかりが雁首揃えた側近らは、利権の絡む〝政党ファースト〟の愚策以外は塵屑しか生んでこなかった。今回、明確となった危機管理能力の欠如は、あまりにもぶざま過ぎて言葉にならない。この腑抜けた者らに、生活者らの困窮/苦悩がそもそも理解できるはずはなく、生活を守る/責任を取るという無責任極まりない戯れ言を嘲笑して済む次元を、今度ばかりは遥かに超えている。まともな状況判断、決断ができないのは致命的である。馬鹿に政治を任せるとどうなるか。現在、目にしている通りだ。
アベ某が飽きもせずに意味の無い会見を繰り返しているのだが、それよりも大衆の怒りを代弁せず、第四権力としての圧力を行使もせず、〝大本営発表〟を垂れ流し続けるメディアの従順さには唖然とする。権力と闘うこともできない脆弱な記者を黙らせることこそが、愚劣体制維持の秘訣なのだろう。
無論「何もかも政治が悪いからだ」と述べるのは容易い。責任転嫁でもあるかもしれない。けれども、ウイルスの蔓延を見逃し、街/人の大多数を殺したのは、グローバル化の名のもとに驕り高ぶり、カネを優先して人命を軽視した国家体制である。ゴーストタウン化した上海、ミラノやニューヨーク。東京がいつになるか。結末は、なるべくしてなる。

そもそも、国の対策に期待する方が浅はかなのだろう。身を守るには、自らが情報を見極め、最善の行動をとるしかない。踊らされず、地を踏み締めなければならない。

【2020.4.1追記】

世界の感染者は186の国/地域で86万人、死者は4万人を超えた。アメリカでは感染者数が16万人と凄まじい勢いで増え続け、最大で20万人以上が犠牲となるという衝撃的な予測もある。事態は地獄の如き様相を見せているのだが、違う意味で人々の生きる気力を奪い、どん底へと突き落としている国がある。

本日、厚顔無恥においては世界有数の某政権が、「かつてない、大胆で、強大な、希望の灯火となる」対策を、全世界から失笑を得た前座「お肉券/お魚券」に続いてぶち上げ、またも国民を呆然とさせた。新型コロナウイルス感染に打ち勝つ「スピード感のある、前例のない」方針。一世帯に布マスク2枚の配布。感染者の多い東京から、一か月間という貴重な時間を浪費して配り始めるらしい。その間、地方のマスク争奪戦は見て見ぬ振りをする。〝有り難い〟政府支給のマスクを手に入れた四人家族の場合は、残り二人が感染するリスクを負い、結果的に一人が発症すれば全滅となることも、当然承知の上だ。そもそも、マスクなど予防効果の極めて薄い気休めでしかないことも知らないらしい。常人には思い付かない、この腐り切った茶番のために、さらに国内が混乱し、政治屋に対する不信感を高めていることも理解できないようだ。利権塗れの東京五輪には薄汚いカネを湯水の如く遣い、自国民の命を救うカネには小銭でさえ躊躇う。何しろ己らの懐に捻り込むことの出来ない見返り無き出費は、すべて無駄金と考える奴らだ。

今では、新型コロナウイルスよりも、愚劣政権に対する不安と恐怖の方が強まっている。何をどうすれば良いのか分からないのなら、これ以上被害者を出さないために、醜悪なる〝お友達〟共々さっさと身を引いた方が、この国のためになる。奪った血税を馬鹿政府よりはよっぽどマシな危機管理能力を持つ全国の自治体にすべて振り分けて対応を任せ、即刻引退し、二度と関わるな。あとは思う存分お花畑で能天気な嫁らと花見を楽しめばいい。それこそが、我々が生き残れる道であり、この悪夢を終わらせる最大の対策となる。