海外ミステリ・レビュー

……新旧の積ん読本を崩しつつ

「サイコ」ロバート・ブロック

ヒッチコックの映画化によりブロックを一躍著名にした1959年発表作。残虐な殺人シーンのインパクトでホラーのイメージが強いが、原作はサイコスリラーの先駆として評価が定着している。異常殺人者を主役格に置き、狂気へと墜ちていった背景を解き明かす〝サイコ物〟のフォーマットを完成させ、トマス・ハリスハンニバルシリーズなど後の世代へと繋げている。
今読めば、全体的に古さを感じてしまうのだが、ベテラン作家らしく筆致はこなれている。ただ、ブロックが本領を発揮するのは、やはり密度が濃く引き締まった短編ではあるのだが。

評価 ★★★

サイコ (ハヤカワ文庫 NV 284)

サイコ (ハヤカワ文庫 NV 284)